Vanishing Summer 最後の夏



こころの中をかすめるように 夏の最後の光は走り
…手をのべてとらえる間もなく
ふり返ればただおだやかな日々
過ぎ去ればいとおしく鮮やかな記憶

思い返すよりも先に前へ
立ちどまるよちも常に前へ
…夏の最後の光は走り
あとに焦りだけを残してゆく
何を見つめる暇もなく
走り出さねばならぬ思いを こころの中においてゆく
…間に合うのか? 間に合わぬのか?
一番知りたいその一言は告げもせず

そして我等は手を離す
語り合うた日も 笑い合うた日も
およそ全てのなつかしき季節を過去へ追いやり
こころの奥へ封じてしまい
その寂しさも哀しさももろともに目をそらし
やがて静かに手を離す
真実は見えない…強く呼び合うこころも 固く信じる想いも

そうまでしても捨て去って
そして走り出さねばならなかった我等のこころの痛みなど誰が知ろう?
しかし…何の意味があろう…

こころの中をかすめるように 夏の最後の光は走り
何か失くしたような思いを抱いて
ついに気付けぬまま
我等は何処まで行くのだろう


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